日本のプロダクトデザインの発展は、戦後アメリカから大量に入ってきた工業製品の影響に端を発している。さらに1952年の毎日デザインコンペの設立や、1957年の通商産業省によるGマーク制度の設立が後押しし、日本独自のデザインの家電を次々と生み出した。
2010年3月号(2月1日発売) 定価:1,070円(税込)
日本のプロダクトデザインの発展は、戦後アメリカから大量に入ってきた工業製品の影響に端を発している。
さらに1952年の毎日デザインの設立や、1957年の通商産業省によるGマーク制度の設立が後押しし、
日本独自のデザインの家電を次々と生み出した。
ものづくりへの「デザイン」概念は1990年頃までに日本の企業に浸透し、
それにつれてデザイナーの数や活動領域は拡大してきた。
1964年の東京オリンピック前後には、広告によって購入意欲をそそる
生活イメージが広く告知され、実際にそれらの生活を可能にするような
「商品デザイン」が家電等の耐久消費財分野で提供されていった。
さらに、1973年の第一次オイルショック後、デザインは次第に付加的な利用から、
商品の価値創造自体を担うようになる。1979年に発売されたソニーの「ウォークマン」は、
デザインを主眼に置いて生まれ、デザインが商品の価値を担った典型的な例である。
プロダクトデザインに関する連載はこちら
「青山デザイン会議」「ONE TEN GALLERY TALK」
そしてデザイナーという職種自体への注目も年々高まっている。
デザイナーの能力は、単なる意匠のデザインでなく、
生活を観察して新しい商品価値を発見し(コンセプトワーク)、
そしてそれを具体的な形として提示できる能力である。
これまで日本のプロダクトデザインと言えばフリーランスが極めて少なく、
その大半が企業に勤めるインハウスデザイナーであるのが特徴だった。
しかし、そんな状況をくつがえすように、ここ数年フリーランスのデザイナーの活躍が目立っている。
深澤直人氏が立ち上げた「±0」や、東芝から独立した熊本浩志氏が提供する
「リアルフリート」「amadana」などが、その代表的な例だ。
インテリアショップやデザイナーが中心になって企画・運営するデザインイベント
「東京デザイナーズブロック(TDB)」「東京デザイナーズ・ウィーク」「Design Tide」
なども年々盛んになり、集客を高めている。
さらに現在では、広告のアートディレクターやグラフィックデザイナーが
プロダクトのデザインを手掛ける例も増えている。特に次々と新しいデザインを
求められる携帯電話の市場では、こうした動きが顕著で、新しい試みがなされている。
最近では、NTTドコモが松永真、佐藤可士和、平野敬子、工藤青石を起用し、話題を集めた。
デザインというジャンルの中での垣根が低くなっている現在、
プロダクトデザインの世界に新しい風が吹き始めている。


